The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

第7章: 戴冠式

カイアトルは助言者たちと一緒に、逃走中の軍艦エリゴス・レックスVの議会室の長机の前に座っていた。醜い混乱がその場を支配していた。 「奴らの戦艦はあまりにも強力すぎる」とカウンシラー・タウランが言った。戦略ディスプレイ上に、ハイヴの船と戦艦が宇宙の無数の染みのように浮かんでは明滅している。 「奴らは死傷者の数など気にしない」とカアウルグが太い声で言った。「ハイヴには許容できない損失など存在しない」 テーブルの向こう側から同意の声が聞こえてくる。「ガウルは数人の優秀な将軍たちに進路の変更を命じた」とサアレクは惜しむように言った。「馬鹿げた聖戦のために、忌々しい太陽系に向かってな…」 「彼らは戻ってこないだろう」とカアウルグは言った。「ガウルもだ」というと拳を握りしめた。「ただ、この弱さはガウルから生じたものではない。あの肥えた裏切り者、カルスが原因だ」 カアウルグとサアレクはテーブルを挟んでにらみ合った。彼らはカイアトルのよく知る表情をしていた。こうなると流血に繋がることも珍しくなかった。彼女は緊張感の走る一瞬の間、その様子を眺め、それから大きな声で言った。「そこまでだ」 全員が帝国の皇女を見た。 「我が父は、己の慈悲深さという迷信に惑わされていた」とカイアトルは言った。「父は、帝国のあるべき姿という物語で自らと臣民の腹を満たし、それを実現させるために中途半端な行動を取った。だが結局、成功はしなかった。父は成功を望んでいなかったのだ。私は父とは違う」 「ドミヌス・ガウルは約束の履行に捕らわれていた。彼は貸しがあると考え、それを取り戻そうとした。彼は自らとその遺産を守るために、リージョンを道具代わりにした。彼は帝国を自分の持ち物の一つと考えていたのだ。私はドミヌス・ガウルとは違う」 「ウムンアラスは私を――皆を誤った方向に導いた。我が民が戦いから逃げることはない。だが我々は、繰り返し刃に向かって身を投げるようなハイヴとも違う。戦略的撤退は強さの証明でもある」 彼女はカウンシラーたちの心配そうな表情を見て、彼らの弱さに羞恥心を抱いた。だがそれと同時に責任も感じた。「残っている全ての船を太陽系に向かわせろ。リージョンの残党を全て回収する。これがカバルの女帝としての私の最初の命令だ」 翌日、彼らは故郷を発つと、カバルの女帝カイアトルの旗艦、エリゴス・レックスVで戴冠式が執り行なわれた。