The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

回復記憶、リーバ3

6月3日/5:01PM エルシー、いや、つまり、ブレイ博士が悪いニュースを持ってきた。クロビスAIがベックスを別の星に送り込んでいる。彼女はそれを阻止する計画を立てたが、我々全員の安全が確保されるまでは実行しないだろう。実に彼女らしい。 その代わりに残念な知らせがある。我々は塹壕E15にいる全員を逃がそうとした。だが既に手遅れだった。ベックスは塹壕にいた全ての者を殺した。あれは… 恐ろしい光景だった。どうか安らかに眠れ… ブレイ博士は、避難船に向かうための計画を立てていると言ったが、この5分間座ったまま一言も発していない。恐らく罪悪感を覚えているのだろう。彼らを助けられなかったことについて。もしくは、このベックスの襲撃について自分に落ち度がなかったか思いを巡らしているのかもしれない。ボランティスの探索を促したこと、大量のベックス倒したこと、何かが繋がっていたのかもしれない。 残念ながら彼女は真実を知らない。クロビスが彼女に何をしたのか知らないのだ。私は真実を打ち明けたくて仕方なかった。だが言わなかった。彼女のようになりたくなかったからだ。だが言いたくてたまらない。我々は友人だった。仲が良かった。彼女はリーバ3としての今の私しか知らない。 おっと、彼女の準備ができたようだ。 「皆、よく聞いて。ベックスは今頃、トンネルの中にいるはず。つまり私たちは、徒歩で雪の中を進んで船を目指さなければならない。我々の目的地は、北緯55°52、西経44°11、道に迷った時のために覚えておいて。全員インフラセンサーをオンにして、武器に弾を込めていつでも撃てるように準備をすること。必ず皆をこの惑星から避難させる。約束よ」 ブレイ博士は以前から非常に責任感が強かった。だがこれまで彼女がその能力を発揮する機会がなかった。今この時までは。 今や指揮官は彼女だ。そして隣にはあの新米エクソがいる。さあ出発だ。 ---------------------------------------------------------------------------- 暗い。そして風が強い。この吹雪越しでも、インフラセンサーのおかげで数メートル先にいるベックスの姿が確認できる。我々は毎回、先手を取れる、だがいつまでこの状態が続くだろうか? *銃声* 言ってるそばからこれだ。左に2体いる。 *銃声* 仕留めた。 *銃声* 撃たれた。 「リーバが撃たれた!」 *銃声* 新米エクソ、援護に感謝する。ただ10秒ほど遅かった。もう私は動けない。 ブレイ博士が私の隣で膝をついている。「リーバ… ごめんなさい」 「最初からそういう契約だった、そうだろ?」と私は言った。だがそれは真実ではなかった。我々の結んだ契約は永遠に生きることだった。とにかく私は自分の死を他の者のために役立てようとしていた。いわゆる感情移入プロトコルだ。これがあるからエルシーと私は良い友人になれた。 「あなたのメモリーバンクを必ずアーカイブから取り戻す。約束する」と彼女は言った。私は信じなかった。ただ、もし研究所に戻ることができれば… 「エルシー。メモリーバンクE1-815だ。彼のオフィスの中にある」 私が彼女にできるのはそれが精一杯だった。なぜなら、もう…すべ…て…が虚……ろ……に……なっ…て…い……く…………………………………………………………………