The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

託宣

テクナ・ウィッチ達が声をそろえて発話する朝が来た。互いが離れたところにいても、彼らにはそれが可能だった。++私達の思考の中に秘密の街を築く者は誰だ?++ そしてマラは…「夢見る都市」の「女王の道」に1人で立つ彼女は、彼らの声を聞いた。彼女のすぐそばにいるかのように、一人一人のウィッチの言葉がマラの耳元で響いた。そして彼女は何もない空間に向かって「私はマラ・ソヴ。そなたは?」と尋ねた。 答えはすぐ発せられた。++否! そなたは宇宙の業火を起こす者。私達は虚無の宇宙を織る者++ これを聞いたマラは謎があることに気づいた。彼女は即座に振り向き、リベンを刺激しないように気をつけながら「女王の道」から去った。歩きながら彼女は考えた。そしてついに「違う。あなた達は『古代人』。あなた達は運命に形を与える思念」と言った。 あの1つにそろった声がまた聞こえた。それは宇宙の誕生のように明瞭で力強く、私情を挟まぬ公正な好奇心が多分に含まれていた。++自身は賢明だと? そなたのようなものが、いかにしてそのような天啓を得たのか?++ マラは歩幅を大きくして、階段を2段飛ばしで進み、ほとんど使用していない移動用ゲートに素早くたどり着いた。彼女は海岸沿いにある小さな観測所(当時は単なる大型の寄宿舎として使用されていた)に現れ、そこでケルダー・ウォージェを見つけた。「全能の教師」は地面から1メートルのところに浮かんでいた。彼女の耳と鼻から血が流れ出ていた。目は虚空を見つめていた。他のテクナ・ウィッチは、「夢見る都市」の周囲の幾何学的配列の中で、同じように立ちすくんでいた。誰も生気がなく、血を流しながら宙を漂っていた。 やがて恐怖を克服したマラは、「私はあなたのそばで生きてきました」と言った。ケルダーの身を気遣った彼女は、「乱暴なことをするつもりなのですか?」と尋ねた。 その言葉とほぼ同時に、糸が切れた操り人形のようにテクナ・ウィッチ達は地面に崩れ落ちた。一人残ったケルダー・ウォージェは、まばゆいほどに輝き、さらに空高くへ上昇した。その体が一つずつ解けていき、彼女は++今そなたは私達を侮辱した++と言った。 旧友が崩壊する恐ろしい光景を前にして、マラは勇気を振り絞った。謎を解いたと勘違いした彼女は愚かだった。「やはり」と彼女は言った。暴力とはやはり観点の問題なのだ。「つまり…私はあなたが私に何を求めるのか聞きたい」 愛すべき賢者、ケルダー・ウォージェの体は突然破裂した。特異点となった彼女はすさまじい炎をあげて燃え続けたが、周囲にあるものは何も破壊されなかった。「喉ではない喉」から、もう一度彼女の声が漏れ出た。マラはそれを骨髄の原子で感じた。その声は++そなたは私達に何を求める?++と言った。 15の昼と15の夜、何に守られる事もなく、特異点は燃え続けた。 16日目、特異点になった「全能の教師」を核として、託宣エンジンの建造が始まった。