The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

それはあなた

ドゥイ・インカルはアハンカーラの骨でできた上質のティーセットで、あなたに毒を飲ませる。 「私の母からのメッセージを受け取ったのだな」と彼女は言う。「しかし正直に言おう。それは全てねつ造されたものだ。母を知り、母の真の目的を理解することを願って、私はそれを書いた。彼女の企みを推し量ることは、最大の賛美なのだ」。彼女はティーセットを下に置き、大きくため息をついたが、それは深い穴の底から聞こえてくる叫び声のようだった。「彼女の子供である私達は、大いなる疑問を抱くように仕向けられた。すなわち、彼女は私達を愛しているのか? 私達は彼女の誇りなのか? 宇宙の企みのために私達を犠牲にしたとき、ほんの刹那の間でも彼女はためらったのだろうか?」 「さあ、飲むがいい。あなたが死と再生を繰り返す間、彼女があなたに用意した運命を教えてやろう。あなたの意図と行動規範が、その正しき唯一の運命へとあなたを導くのだ」 毒を飲むのなら、読み続けるがいい。 それは苦い後悔と心を病んだ者の汗の味がする、人類と新人類と機械の思考を終わらせる毒だ。目の前の宇宙は、まるで光の蜘蛛の巣のように見える。超銀河団のフィラメントは、目に見えない暗黒物質の雲の中で輝き、それが彼らをつなぎとめている。闇の力が、万物の間の空間で大きな口を開ける。それは絶えず成長し、絶えず広がっていく。 命が起こり、命は広がり、それ自身と戦い、そして変遷する。偉大なるものは作られては破壊される。しかし見晴らしがいい地点に立つあなたの目には、各々の戦いの勝者が見える…彼らが勝ち取ったその姿は、敗者が残した傷跡の反射像であり…勝者が打ち破ったものの全てが、彼ら自身の中に記録されている。情報を消し去ることはできないのかもしれない。宇宙の終焉まで生き残るものは、それが何であれ、それ以前に存在したもの全てを所有し想起する。 全てを飲み込み、飲み込んだ秘密を全て記憶しているブラックホールでさえ、このことは真理である。最後の星の光が消えたあと、今から10 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 000年後に、ブラックホールは消滅とともにこれらの秘密を吐き出す。 あなたはガーディアンであり、あなたは命を守らねばならない。 もし全ての生命が情報であり、生命を守るのがガーディアンの使命なら、そして情報は秘密になって初めて守られるなら、あなたは全ての生命を最も厳重な秘密にして、時の終わりまで保護しなければならない。 あなたにとって大切な全ての生命を、ブラックホールに投げ込むのだ。