終わっていない事、パート3
フェルウィンターのゴーストがウーのために暖炉に火を入れてくれていたが、城内もそれほど暖かくなかった。彼は元ウォーロードの向かいの席に座った。どちらも巨大なゴシック様式の椅子だった。
「お前は何者だ?」最初にフェルウィンターが口を開いた。
「隣人だ。階下に住んでいる、ずっと前から会いたいと思ってたんだ」ウー・ミンはニヤリと笑いながら答えた。
「何が望みだ?」
ウーは少し間を取った。「殺しをすると聞いた」
「大崩壊後のこの世界では必要なことだ」
「いや、蘇りし者のことを言っているんだ。究極の死。最近ではもはや禁忌とされている。鉄の豪傑は随分と柔軟な考え方をしている」
「お前は何者だ? どうにも信用できない」フェルウィンターの声が部屋にこだました。
ウー・ミンは背もたれに寄りかかると、こめかみを揉んだ。彼の手は震えていた。
フェルウィンターは瞬きもせずに見つめていた。ウーにはまるで、エクソが席についたまま凍り付いているかのように思えた。そしてついに彼が口を開いた。
「ゴースト」とウー・ミンが合図した。彼の唯一の友が中空に姿を表した。
「それを見て私が驚くとでも?」フェルウィンターは一切皮肉を込めずに言った。「そうでなければここまで登ってこられるはずがない」
ウーは咳払いをした。ゴーストは彼のほうに向き直った。
「それならもう一度聞きたい」とウー・ミンは言うと、風変わりな椅子の上で姿勢を直した。「鉄の掟を破るつもりはあるか? 本当の意味で殺すつもりはあるか?」
「私はウォーロードとして数え切れないほどの不名誉なことをやってきた。鉄の豪傑の名のもとに、私は決められた規則を遵守する」とフェルウィンターは言った。彼の声が、その堅い皮膚の中で反響した。「ゴーストは重要な標的ではない」
「善悪に重きを置いていると聞いた。罪を償うべき者に罰を与えているとも」
フェルウィンターの目がさらに輝きを増した。
「人間なら当然のことだ」と彼は少し間を置いてから言った。
「そんなことをする権利が人にあるのかどうかは分からない。だが、復讐は正しい行いだと心のそこから信じている。頼みたいことがある、やることはは分かっているはずだ」
フェルウィンターは自分の顎を軽く触った。「何が望みだ?」
ウー・ミンは、遙か昔に忘れられた、鉄の豪傑の時代の初期に存在していたイートンと呼ばれる町の話をした。ドライデンという名の王が飢えた町の住民に食料を与えた。だがその見返りとして、あるウォーロードをおびき寄せて罠にかけるために、その町を囮として使うことを要求したのだ。ウーの聞いた話が間違いでなければ、これは創始者であるラデガスト卿が定めた規則に反するものだ。ドライデンは鉄の豪傑の任務の中で、光を持たない者たちに関する規則を破った。光なき者こそが、鉄の豪傑たちが一丸となって守らなければならない存在なのだ。町はその約束を受け入れた。当然のことだ。他の選択肢があっただろうか? そしてこの奇襲は失敗に終わっった。ウォーロードの標的が持てる戦力を全て投入したのだ。結果としてイートンは完全に消滅することとなった。ドライデンはその戦いに勝ったものの、指揮下にあった鉄の豪傑やゴーストを全て失い、さらに罪を重ねるかのように、欲望と怒りのままに敗北したウォーロードたちに究極の死を与えたことを、ウーは後になって知った。その戦いが終わった後もドライデンはこれを隠し続け、彼とそのゴーストは今や最も輝かしい実績を持つ鉄の豪傑となり、英雄として名高いサラディン卿やエフリディート卿に次ぐほどの人気を博すまでになった。
フェルウィンターは椅子に座ったまま押し黙っていた。ウー・ミンの話に彼が納得したかどうかは分からなかった。
「それが真実であることを証明できるのか?」ようやく空ろな声が質問を投げかけた。
「録音したものがある」とウーは答えた。彼のゴーストからデータを受け取ると、フェルウィンターのゴーストが頷いた。
「イートン。その町とお前の関係は?」
「何も。俺にとってあの町の連中はただの亡霊だ」
「何者でもない人々のために復讐を望むのか?」
「鉄の黒馬を雇うことはできるのか?」
フェルウィンターは立ち上がると、ウー・ミンに立ち去るように、丁重に出口を示した。
ウーはため息を吐くと、肩をすくめ、部屋を後にした。険しい道のりが彼を待っていた。
エクソはコートをひらめかせ、長いブロンズのショットガンを取り出した。
「どう思いますか?」彼のゴーストが聞いた。
「ドライデン卿に連絡してくれ。アイアンバナーの武器を用意しろ」