ミカエラ・ユラハ
ネオムナ保健省
患者ID. MLJULAHA00027.1395
日付 //ERROR/
音声口述記録 | 機密
アーマ・ユラハ: ママ!
ミカエラ・ユラハ: アーマ。痛っ!
アーマ・J: フィードで見たの。ママ、すごかったよ! 腕、いたい?
ミカエラ・J: ああ、これ? 平気。また生えてくるって先生が言ってたわ。何日かかかるみたいだけどね。
ソフィア・グオ医師: 24時間程度ね。あなたの異常ナノマシン・コロニー、1周期ごとに修理プロセスがさらに上達しているようだから。
S・グオ: それと、チャクワス看護師には面会謝絶と言っておいたはずなのだけれど。
ミカエラ・J: 7年も経ったんだから、分かるでしょ? 看護師じゃこの子は止められないって。
S・グオ: アーマ、あなたにまた会えてうれしいけれど、今はラウンジで待っていなさい。あなたのお母さんと2人で話がしたいの。
ミカエラ・J: この子もいさせて。
S・グオ: いいの?
//聞き取り不可
S・グオ: ミカエラ、あの事故のあとで何が起きたのか、解っていないことがたくさんあるわ。あなたのナノマシン・コロニーと採取した検体はどちらも問題なく動作しているし、クラウドアークのノードも通常どおり。元の補助用ソケットでさえ新品同様で、5年ごとに交換するだけで十分すぎる。
ミカエラ・J: でも問題があるんでしょ?
S・グオ: 問題は、それらがあなたの生体部分に大きな負担を強いていること。人体はこんなに早く治癒したり、これほど激しく動かすことに耐えられない――
アーマ・J: そんな…
S・グオ: あなたの内臓は微小の傷跡だらけ。今では肝臓、心臓、腎臓、脾臓、脳――
ミカエラ・J: 5大内臓ね。
S・グオ: あなたの体内のナノマシン・コロニーの動きを一定期間抑制する方法さえ判れば、内臓の交換を始めて――
ミカエラ・J: 交換が不可能だと仮定した場合は?
//聞き取り不可
S・グオ: 8か月よ。前線に出なければ、あるいは10か月。
アーマ・J: ママ、だめだよ…
ミカエラ・J: ほら、アーマ、こっちにおいで。
アーマ・J: 死なないで。
ミカエラ・J: 死ぬなんてね、人生の一部でしかない。退屈なことよ。私は本当ならずっと前に死んでいたはずだけど、数年おまけしてもらえたおかげで、あなたが大きくなるのを見届けて、パパを愛して、人を助けることができたわ。
アーマ・J: いてほしいんだもん。
ミカエラ・J: アーマなら、私がいなくても平気。あなたの中には、たくさんの良い思い出から生まれたよっぽど素敵なママがいるもの。そのママは、アーマが必要としている時もずっと一緒にいてくれる。
アーマ・J: ママ…
アーマ・J: もうちょっとだけ、一緒にいていい?
ミカエラ・J: そんなの、当たり前でしょう。