The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

骨商人の物語

彼らはスパローを捨てて徒歩で進まなければいけないほど鬱蒼とした草木をかき分けながら、アハンカーラを基地の廃墟まで追跡した。 そこ一帯はハウス・オブ・ウィンターの領域であり、彼らはそれを警戒するあまり、目的地到着間際になって牛歩の速度で進まなければならなかった。ルークはフォン・ドイヴェンの肩のピンと張ったラインから彼の苛立ちを感じ取ったが、どちらもエリアの綿密なスキャンをしてゴーストを危険に晒したくはなかった。 アハンカーラは円形のコケだらけの廃墟の中央で、まるで正式な待ち合わせをしていたかのように彼らを待っていた。それはルークが予想していたよりも小さく、ジャンプシップほどの大きさしかなかった。背骨を異常なまでに丸めた怪物は笑ったように顎を大きく開け広げたまま、空地で微動だにせずに佇んでいた。この怪物が生きているとは到底思えず、どちらかと言えばウォーロックの研究用のおかしな標本のように見えた。 これは普通なのかと質問しようとルークが口を開けた瞬間、フォン・ドイヴェンが滑らかな動作でライフルを上げ、発砲した。ルークはその唐突な動きにビクッと身を震わせた。 アハンカーラが土の上に倒れ込んだ。 蛇のように巻かれた恐ろしい怪物の体は、その激痛に痙攣しながら地面の上でのたうち回った。そして、その間もアハンカーラは瞳を爛爛と輝かせながら歯を見せて笑っていた。 最終的には、フォン・ドイヴェンが剣を手にしてアハンカーラに歩み寄り、無造作にその首を切り落とした。アハンカーラの肉体は、まるで溶ける物質でできていたかのようにボロボロと崩れていく。1分も経たないうちに、そこには骨以外は何も残っていなかった。 ルークは怪物の骨がいきなり動き出すのではないかと警戒し、キャノンから手を離さずにいた。だがシューシューという蒸発音は徐々に小さくなっていき、骨はそのまま動かなかった。 「狩りというほどでもないね」やがて訪れた沈黙の中でルークが言った。近頃は、シティにいる他の光の戦士は皆、本当の話かどうかは別として、竜狩りの武勇伝を持っていた。だが、今回の討伐はそのような武勇伝とはかけ離れていた。 フォン・ドイヴェンが頭蓋の前にひざをついた。「何か話をでっち上げればいい」 ルークは困惑した様子で彼を見ていたが、やがてタイタンは手に持った剣をひっくり返し、その柄を叩きつけて頭蓋の歯を何本か抜いた。「希竜ってのは強いんじゃなかったの?」 「フォールンが我々の絶滅を願ったらどうする?」フォン・ドイヴェンが一番小さな牙を指の上で転がしながら言った。「強い、というのはそういうことだ」 ルークが辺りの廃墟を見回した。「何で仲間たちはそれを試さないんだろう?」 フォン・ドイヴェンは肩をすくめた。「上手くできなかったのかもしれない。それか、我々が勝利する世界がこの世界とあまりにもかけ離れているせいで、我々は置き去りにされたのかもしれない」 その言葉にルークは不安になった。竜を狩ろうとして、行方不明になった者が多くいた。彼らはまるで最初から存在しなかったかのように姿を消した。彼女は同じ空間の数多の鏡像世界に散りばめられた光の戦士たち、そして彼らの叶えることのできない数多の願いを想像した。アハンカーラの数は減り続けている。だが、それと共に人類が世界の破滅から免れる最後の手段も消えていくとしたら? 「ウォーロックのために… 骨をいくつか持って帰ったほうがいいよね」ルークが言った。 フォン・ドイヴェンが笑った。彼は手に持っていた歯を自分の弾薬帯のポケットに滑り込ませた。「残りを集めるのを手伝ってくれ」