5: 火に入る蛾 第2部
オシリスの側面に広がる森の中から、数名の人間が姿を現した。中には使い古された武器を持っている者もいる。先頭に立っていた者がさっそうと近づいてきた。
「立て、そこの老人」肩越しから投げかけられたその言葉は、湿っぽくて重かった。
「断る」
派手な色のゴーストがオシリスの目の前で言った。「ウォーロード・ライヒが立てと言っているのです」
「お前は私の縄張りの木を燃やした。これはある種の窃盗だ。腕1本分に相当する」
「不死であるのに、自分の身の回りのものを手に入れることしか頭にないんだな。何とも贅沢な話だ」
ウォーロードは笑った。ゴーストもそれに合わせてすぐに笑った。
「恥知らずめ」オシリスは自分の肩越しに言った。「立ち去れ。もう一度その生き方を考え直すんだな」
「腕でなければ、その命をもらう。それが決まりだ」
「好きにしろ」オシリスはウォーロードに選択の猶予を与えた。
「私の後ろでは6丁の銃が構えられている」そう言うとウォーロードはオシリスのフードに銃を突きつけた。
「私は輝くものを持っている」炎がオシリスを飲み込み翼へと姿を変え、夜の中に影を映し出した。その手から、白く燃えさかる剣が伸びている。それは一瞬だった。オシリスによってウォーロードは炎を上げる塊となり、空中で固まっていたゴーストは彼に拘束された。オシリスが他の者たちのほうを見ると、森の中へと急いで逃げていく背中が見えた。彼はゴーストに視線を戻した。
「なぜこの男を選んだ?」オシリスは炎を消した。
「離してください!」
サギラが再び姿を現した。
「そこのあなた! 頼む、助けて!」
「大丈夫です。彼はあなたを傷つけたりしません。私に話してください。彼のことは気にしないで」そう言うと、サギラはそのゴーストの目の前に移動した。ゴーストたちは目を合わせると、不規則に何度も瞬いた。
「彼を離してあげてください」
オシリスは手を離した。ゴーストは姿を消した。「サギラ?」
「彼は強者を必要としていました。戦士を」
「それだけか?」
サギラが動きを止めた。
「トラベラーは… 私たちを作った時に負傷していました。その痛みは反響し、やむことはありません。私たちの中には誤った選択をする者もいます。中には怖がる者も。皆が一様に対処できるというわけではありません」
「傷か」オシリスは、光が届かないほどの森の深みに身をすくませた。光に傷があるのなら、破損の可能性があるということだ。無敵ではないということは、いずれはそれに立ち向かう者が現れるかもしれない。
「私たちは全体を成す要素の内の1つにすぎませんが、同じではありせん。それぞれに個性があります。あなたとて独りで完璧な存在なわけではありません」
彼は忍耐というものを学ぶ必要がありそうだ。
「あのゴーストはどこへ行くんだ?」
「トラベラーのところに戻りました。新たな人物を、そしてより良い人材を見つけるために」