I - 雪解け
「冷たそうだな、子供よ」
エラミスの世界は、窒息しそうな暗闇と痛みで満ちていた。彼女はその中で動くことができなかった。ただ、ぼんやりとその声を認識していた。
「お前には使い道がある」
凍りついた破片の塊が、彼女の目を封じている。彼女はどれくらいここにいたのだろう。
「我らに代わり、見つけてもらいたい物がある。失われた物を探せ」
その声は煙のように周囲に渦を巻き、彼女の心の中に響いた。恐ろしくはあったが、無に包まれた中で意識を集中させることのできる対象であった。しかし、この声の主は何者なのか。
「答えよ」と、応じざるを得ないような威厳のある声が言う。
エラミスは躊躇した。それに呼応するかのように、彼女の知覚は鈍り始め、圧倒的な闇が再び彼女の周囲に迫ってくるのを感じた。ここには抗う余地も、選択の余地もない。
エラミスは同族のことを思った。
彼女は、わかった、と思い浮かべた。すると、痛みが消える。
「お前に仕える者を集めよ。そしてお前は我らに仕えていることを知れ」
彼女の頭の中に、様々なイメージが渦巻いた。星々の間にたなびく煙、長い間忘れ去られていた宝の中に隠された船、轟音に変わりゆく囁き、動き出した大いなる機械が――
「目覚めよ」
そして、あちこちから、砕け散る。
***
アラスクは自分のケッチの中心部に座り、ビュースクリーンの弱い琥珀色の光に照らされていた。彼は顔をしかめながら、最大積載量の25%にあたるフェーズガラスを積んでテミス星団を通過する航路を新たに設定した。航海のコストをどうにか回収できる程度の仕事であり、エーテルの蓄えも恐ろしく少ない。配下の乗組員もいつまで――
点滅する光にアラスクは気づく。長らく休止していたチャンネル上の通信だ。
アラスクは古びた革素材をきしませながら、座席から身を乗り出し、1本の曲がった爪で画面を叩いた。
送られてきたのは単刀直入で容赦のない伝文だった。アラスクの顔に不気味な笑みが浮かぶ。彼女は変わっていなかった。
長く使われていなかった通信システムが耳障りな音を立てる。甲板下層では、ドレッグとマローダーからなる寄せ集めの集団が混乱した様子で見上げていた。
「招集がかかった」スピーカーからアラスクの声が響く。「古き旗を掲げよ」
「再び出航の時が来たのだ!」