The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

焦燥

彼は責任者にしばらく街を離れると伝えに行く。あいつも理解してくれるはずだ。彼にとってはかつてないほど責任感のある行動だった。司令官も感心するだろう。 だが、そこには誰もいなかった。彼は中を歩き回りながら、一列に並んだボールをカチカチと鳴らし、部屋の脇に置かれたテーブルに乗った金の像をつついて床に落とし、並べられた本を横切りながら頭上の棚に乗った猫に向かって瞬きをした。 何もない。彼は焦燥に駆られる。立ち止まる時間が長くなるほど、悲しみが食い込んでくる。彼は沈黙の中で悪態をつき、部屋から出た。