The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

暁旦の贈り物に思いを込めて

私が忙しい原因は顧客だけではない。色々な人にアドバイスを求められる。「どっちのシェーダーがいいと思う?」や、「この紋章は私に合っているだろうか?」とか、「暁旦パーティーを開くべきだろうか?」「なぜあいつの暁旦パーティーに出席しなきゃならないんだ?」といった感じだ。ただ、こんな簡単な質問ばかりではない。 私はある日の静かな午後を利用して包装紙の陳列棚を整理していた。突然私を呼ぶ声が私の耳に響いてきて、思わず飛び上がってしまった! その声は… 間違いなくあのタイタンだった——ザヴァラではない。誰かは言えない。エヴァ・レバンテはセンシティブな問題には関してはしっかりと言葉を選ぶのよ。 彼は見事な武器を持っていた、金属の部品が多い複雑な作りで、太い紐が両端を結んでいた。彼は私の視線に気づき「コンポジットボウだ」と説明した。「矢を放つ」私は困惑して眉を釣り上げた。 彼はその武器に、大きな赤いベルベットのリボンを付けていた。リボンの付きの弓だ。 彼の傾いたヘルメットと、その武器をしっかりと握っている様子を見れば、どこか普通とは違うことがすぐに分かった。 私はため息をついた。暁旦が始まるとたびたび目にする光景。恋をしている。説得に時間がかかりそうだ。 「暁旦おめでとう、トリト!」(これは彼の本名ではない、もちろん偽名だ) 「エヴァ・レバンテ。みんなに聞いたんだが… 特別な相手には、暁旦のプレゼントをあげる決まりなのだろう」小声で話そうとしていたが、その声は大きく響き渡った。 「みんなとは?」私は笑った。 彼は私を無視して言った。「この弓を用意したんだ。いいプレゼントだろうか?」 「それは相手次第ね。その人の趣味は? どんな人なの? 詳しく聞かせてくれる?」 「彼女は… 戦いが好きだ。堂々としていて、とても…」タイタンは一息ついた。「コンポジットボウよりもリカーブボウのほうがロマンチックだろうか?」(今回は小声で話すことに成功した) 「なるほど」と私は知ったかぶりをしてうなずいた。私が見ても違いは分からないだろう、ただ彼がどんな問題を抱えているのかは理解した。 「本のほうがいいだろうか?」と彼は尋ねた。 「どんな本かによるわね」 「イコラの『円陣にて』の改訂版は読んだことがある。面白かった」 「それは暁旦のプレゼントには相応しくないわ。純文学なんてどう?」 トリトは兜の角を軽く叩き考えた。「彼女の本を台無しにしてしまったことがある。代わりを贈るべきだろうか?」 「悲しい思い出には触れないほうがいいわ…」 彼は何も言わず、私は続けた。「あなたのお友達にはこの弓をプレゼントするのが正解なのかもしれない。彼女なら使ってくれると思う?」 「もちろんだ」 「それなら」と私は笑顔で言う。「あなたはもう答えを知ってる。あなたとお友達に暁旦の祝福あれ!」と続けた。 「君もだ、エヴァ。記憶に残る暁旦になるといいな」 タイタンは私に礼を言い、弓を手に取り、大股で立ち去った。 --- バニラブレイド: カバルの油とシャープフレーバーを混ぜてから暁旦のエッセンスを加えて焼く。