The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

革命

王子の言葉に引き寄せられていたバリクスは、サービターの爆発音で我に返った。とっさに動こうとしたが、通路の格子状の溝にうっかりつま先を引っかけ、転倒した。顔を上げると抽出サービターが粉々に砕け、意思をなくして転がっていた。蒸発したエーテルが、シューッと空中に吹き出している。 バリクスは体を起こし、警戒し、ゆっくりと移動した。誰が——あるいは何が解き放たれたのか、よくわからなかった。彼はフィクルルの独房についているロックを逐一確認し、勇気を振り絞って丸窓を覗き込んだ。 フィクルルは何らダメージを受けていなかった。影響があったとするならば、数分前より強くなったように見える。目をギラギラ輝かせ、悪魔のような笑みを顔に張りつけながら立っている。「俺のエーテルは不味いんだとさ」彼はぼそりと言った。 確かにそのエーテルは暗い色をしており、特定できない何かに汚染されているようだった。バリクスはマスクをきつく締め、サービターの残骸を調べた。フィクルルから吸い取ったものが何であれ、有害物質のおそれがある。立ちこめる気体の中を、泳ぐように進んだ。通常のエーテルのように霧散しない。沈むように留まる、比重の高い不透明な物体だ。 バリクスはその場を辞し、フィクルルの独房に戻った。送信マイクをオンにする。 「フィクルル...『アサアアリイ、アキソリクス』」彼は怒りを込め、判定のハイスピーク語で話しかけた。フィクルルがまだ最古の法に敬意を表するかもしれないと願ってのことである。 「ああ、バリクス。レインが嘘にしがみついていたように、お前は判定にしがみついているのだな」フィクルルはハウスを持たない者がするように、言葉を吐き捨てた。 「ハウスを持たない穢れた者め。これはお前がカリックスにもした事か?こうやって、最後のプライムを宿られし軍に渡したのか?今お前は何を吸っている?血か!?」 「馬鹿が、カリックスにこだわる理由がどこにある。俺たちを見捨てた張本人に。エーテルのほうは...確かに、このフィクルル、もはや機械と同じエーテルには依存していない。アウォークンの父上のおかげで、俺は進化したんだ」 バリクスは、まだ開いている王子の独房をかえりみた。アウォークンの父上... バリクスはそろりと王子のところへ戻っていった。歩を進めるごとに、はっきりと聞こえてきた。ユルドレンはしっかりと座り、影を見つめている。見えない何かに向かってうなずき、話を聞いている。目にした者を痛めつけるまでの狂気を伝えたいなら、この光景を描けばいい。 王子が口を開いた。 「ああ、マラ。今わかったよ。君が約束した、罵られた者たちの軍は...」