過ぎたるは及ばざるがごとし
バリクスは、ペトラのコルセアが新しい戦利品を独房棟へ連行していくのを見ていた。エーテルに飢えた騒々しいドレッグたち。バロンの紋章をつけている。傍らでは見せ場を奪われたペトラが苛々と、ナイフの柄を指で叩いていた。
彼女は、ここが自分の管理できる最後の砦であるかのように、プリズンに固執していた。実際に最後の砦なのかもしれない。あちこちに散らばるレッドリージョンの残党と、リーフ中を暴れまわるバロンに阻まれて、アウォークンが自らの場所と呼べる領域はほとんど残されていなかった。
民もほとんど残っていない。
バリクスはため息をついた。守りに入った側がゲームの生存者になることなどないと分かっていたのは、真のケルのみであった。そしてペトラ・ベンジは、軍事能力こそ優れているが、決してケルの器ではない。
「ケルのいない世界では、ドレッグの強さは混沌しか生み出さない」すべてが決然と進行していた女王の在りし日々、そしてケルの治世を恋しく思いながら、バリクスはレインの古いことわざを呟いた。
「何て言ったの?」そっぽを向いたままペトラが聞く。
「『混沌』」彼は答える。「ドレッグたちは混沌を生み出すだろうと言ったんだ」
「奴らはフォールンよ。フォールンがいるところには、必然的にガーディアンがいる」ペトラは冷ややかに笑い、踵を返した。「判定といえば貴方よね、バリクス。このバロンどもは、どこで縮こまってればいいかしら」彼女は立ち止まり、彼のほうに向き直った。「...ちゃんと食べてる?少しやつれてるわよ」
彼女は笑顔を作り、彼の背中をポンと叩いて己の道を進んでいった。
その後ろ姿を眺めるバリクスも、それができる体であれば、きっと笑みのようなものを浮かべていただろう。ペトラの笑顔は、いつも時宜に適った心からのそれだ...たとえその決断が、完璧とは言えない結果に終わったとしても。ただ彼女は、「さげすまれた」バロンたちがもたらす脅威をきちんと理解していない。当初彼らは、7体のドレッグと異端のアルコンの集まりにすぎなかった。その時から彼女に警告していたのだが、ここに至って彼らの恐ろしさはリーフ全体に広まり、その暴力的な呼びかけに答えるフォールンも、ますます多くなっている。
まあ、ペトラの言動も的外れなことばかりではない。少なくとも今の指摘...摂取エーテルの増量については問題ないだろう。そう考えるとうずうずしてきた。一族の皆と同様に、彼もレッドリージョンの出現以来、摂取量の制限を余儀なくされていた。未だかつてこれほど衰弱し、死が目の前にあると感じたことはない。だが自分は生き残る。今までがそうであったように。
独力でそうせざるを得なくなる時が来ることを、バリクスは既に知っていた。