製織
オシリスはこの世界について熟慮する。
彼の指先にとぐろを巻く穏やかな存在、ストランドは動いているが変わることはない。芸術であったかのような慎重な結び目の螺旋、そして三つ組み。それは常に複数の糸で、必ず脆弱さから力を作り出す構造だ。
彼が感じる心臓の鼓動は、今までのものとは違う。鼓動は胸の中で震えているが、そこには決意がある。
彼には、一番近くにいる人物の居場所が分かる。まずはガーディアン。見える場所にいるのだから当然だ。オシリスが足を滑らせた場合に備えて、近くで心配そうに浮かんでいる。ニンバスがそれよりも遠くにいるが、それでも明白に分かる。多分、街の外を調査しているのだろう。彼自身から見えはしないが、彼の後ろのどこかに1体のプーカがいる。それは空気や水であるかのようにストランドの流れに飛び込み渦を作っている。
手を握り、触れたものを掴み取ることは容易い。だが掴まない。掴むことを考え、指を優しく曲げるが、その状態を保つ。世界という機織りの音色が震えるように彼の周りを漂う。
存在が流動する。それはよどまない一時の映し絵だ。このようなつながりには常に動きがあり、時間が経てば善悪に関わらずすべてのものが流れ去る。機会があればストランドがほどけようとするのも無理はない。実際に感性があるかは分からないが、ストランドからしてみればすべては川の一部分にすぎないのだろう。一時的なうねりや水しぶきだ。
オシリスは広漠たる無限の森や太陽系の壮大さを知っているが、己の小ささを感じるのは、ここで世界の緯糸でできた小さな螺旋を手に持った時だけだ。
だが、それでも彼は自分が独りではないことを理解している。無数の揺るぎない糸が紡がれ、四方八方に引き合いながら常に全体の一部として流れ、ねじれる。
バンガードの暗黒の理解を深めるために、そして新しく因果律超越に触れるガーディアンがストランドを学ぶ過程を合理化するために記録を取っておくべきだ。
だが今のオシリスの心は穏やかに安らいでいる。