MCXXV.
第1125章(予記)
記録者: 書記官イゾルト
偉大なるカルス皇帝と地球の影が星系全体をほぼ手中におさめかけたその時、リヴァイアサンが激しい衝撃に見舞われた。王室整備士の報告によると、船内奥の部屋に奇妙な亀裂が開き、そこからハイヴが儀式で使う薪に似たツンと鼻を突くような悪臭が漂って来たということだった。「我はサバスン。我こそは死だ!」
その亀裂を通し、ウィッチ・クイーンであるサバスンが巨大な船の内部に怪物じみた子らを注ぎ込んだのだった。怪物達は通路を埋め尽くし舌を鳴らして駆け回った。リヴァイアサンの乗員は不安と恐怖に飲み込まれた。「この臆病者が歴史と未来を作り上げている間、我は待つ。この伝言は我からお前達への贈り物だ」
しかし偉大なるカルス皇帝は宇宙の果てで「死」を目にしていたため、臆することはなかった。その魔女とその子らも、「死」ではなかったためである。
皇帝は笑いながら、最愛なる地球の影に向かってこう言った。
「あの不快なサバスンを我が船から排除しろ。あの女にも、その子らにも用はない。激しい飢えに駆られているだけのハイヴには、弱い影しか落とせない。我々を待つあの偉大な地平線から奴らを抹消しろ。終わりの時に、奴らと共にする晩餐はない」
そこで地球の影は、サバスンの子らを殲滅した。母親は出て来た穴へと這い戻ろうとしたため、地球の影は魔女の玉座まで追いかけ、そこでサバスンを殺害した。もう二度と蘇らないように。*
*シャガク書記官への注釈: 偉大なる皇帝は未来がどのような形を取るのか熟知しておいでだが、我々の想像が及ぶものではないとご承知いただきたい。研究施設にあったような不可知の技術に関する無分別かつ非現実的な憶測は控えるように。そうすれば後々記録を書き直す手間が大幅に省けるであろう。なおこの注釈は、歴史が実現し、シャガク書記官の記録が適切に修正され次第削除すること。