第16章
「ほんとうに可愛いクロークなのよ、エルシー。あなたにも見せてあげたかった」作業場でアナが無線に向かって熱心に言った。突如、彼女のコンピューターに通知が表示され、アナは表情を曇らせた。
「あの子なら紙袋をかぶせただけでも、信じられないくらい可愛いわ」エルシーが言った。
無線から返事はなかった。
「…アナ? 聞こえてる?」エルシーが聞いた。
「ん?」コンピューターのスクリーンに注意を向けたままアナが返事をした。
エルシーが笑った。「また後で電話するね」
「ちょっと待って」心配そうに眉をひそめてアナは叫んだ。「ごめん。ただ… アーチィの様子がおかしいみたい」
「ケガでもしたの?」エルシーが緊張気味に聞いた。
「ううん。でも、あの子の診断報告が届いてね。今日2回目なの。1回目はただの偶然だと思ったんだけど」彼女はため息をついた。「きっとあの子がおかしなサブルーチンを使ってるんだ。精密検査をしないといけないみたいだね」
「報告の内容は何なの?」
「いろいろ書かれてるよ。でも何度も出てくる化学反応式がある… 式と化合物は… 炭素12、水素22、酸素11。炭素6、水素8、酸素7。結晶性の炭水化物の比率みたい。それから、非晶質のもの。カラギーナン、サッカラーゼ、テオブロミン。個別には意味を持たないけど、特定のシーケンスで合成すると、それは――」
「キャンディ?」