The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

蘇りし者

11. ゴーストが彼女を蘇らせた日、彼女は自身の名前を尋ね、彼は彼女をオリンと呼んだ。彼が自身の名前を尋ねると、彼女は彼をゴルと呼んだ。心の奥底からの直感だった。喉元にナイフを突きつけられようが、どこからその名前が出てきたのかは説明できない。 ゴル曰く、東へ数日歩けば村があるが、整備された道はなく、定期的に見回っているエイリアンに見つかれば2人とも殺されてしまうだろうとのことだ。彼が喋っている間、オリンは周りと見渡した。2人は鳥やブヨが群れている生き生きとした森に囲まれていた。近くに恐ろしいエイリアンがうろついているとは到底思えない。だが、ゴルは彼女を発見した。ゴルのほうが彼女よりも遥かにこの世界のことを熟知している。なのでオリンはゴルの言うことを信じることにした。 落ち葉を掻き分けて枯れ枝を拾った。「何かに使えるかな?」と枝を振りながら彼に呼びかけた。彼は翼を捻りながら、その言葉の意味を図りかねてに彼女を見返した。「…エイリアンに使えるかなって」と彼女は付け加えた。 「ああ」気を遣って考える素振りを見せてから、すぐにこう応えた。「いいや。ならないと思う。奴らは銃を持ってるから」 「なるほどね」そう言いつつも、まだ納得していない様子だ。彼女はつま先を使って小さい枝を何本か折った。即席の棍棒として使えるはずだ。重くて、操るにはそれなりに力が必要で、それで木の幹を殴りつけても折れることはなかった。 彼女はエイリアンがどんな見た目をしているのか知らない。ゴルの言った「銃」が何なのかも知らない。それでも、ゴルのことは信頼していた。でも、こういう枝さえ持っていれば、いざという時は、例えエイリアンに攻撃されても頭蓋骨を叩き割るくらいはできるだろうと彼女は思った。 12. 2人は村に到着した。辺りは消し炭となり、そこかしこで火が燻っていた。ゴルが「核分裂生成物」や「急性放射線照射」だのとうるさいので、オリンは距離をとって、他に何が残っているのか調べることにした。遠くにあった瓦礫の近くで、猫がネズミを追いかけている。ボロボロになった旗が風にはためいている。その他に目に付くものは何もなかった。ゴルの警告を無視して、もっと近くに寄ってみることにした。 たくさんの死体があった。ほとんどは大人だった。だが中には子供もいた。大型動物用の小屋もあるが、動物の死体のようなものは見当たらない。 「一体何があったの?」黒焦げになった見知らぬ人々を悲しく見つめながら、彼女は尋ねた。「エイリアンの仕業?」 「恐らく違う。フォールンはフュージョン兵器を使わない。大地を汚染させてしまうからな。推測するに、家畜を奪うことを目的にウォーロードが襲撃して、最後に爆弾を仕掛けたんだろうな」 「なぜ?」 さあね、という仕草をしてゴルは身体を揺らした。「理由なんて必要ないだろう?奴らを止める者もいなかったんだ」 オリンは棍棒を強く握りしめた。オリンはひどく不快に感じた。「いつ起きたか分かる?」 ゴルはしばらく考えた。「正確には分からない。恐らく36時間も経ってないだろう」 「もう少し早足で歩けば良かった」彼女はそう呟いて、吐き気を覚えて思わずかがんだ。 「ここで休むのはやめろ」ゴルはすぐさま咎めた。「やめるんだ、オリン。ダメだ。この場所に留まればますます汚染される。そのままだとますます具合も悪くなってそのまま死ぬことになる。俺が君をここで蘇生しても、すぐにまた具合が悪くなってその繰り返しになるぞ。ここを離れよう。ほら、こっちだ。だから勝手に歩き回るなと言ったんだ」