解放 | 第1部
「認めろ!夢見る都市できょうだいを罠にかけたのはお前か!」
「そのようなことは、しておりません」イリンが言う。「王子。女王は罠にかかったのではなく、お亡くなりになったのです」
今やユルドレンは真実を知っている。物事を正したいという欲求がある。激しく切望するあまり、正しい事のために間違った事をしているかもしれないという発想が全くない。「嘘つきの魔女め」敵意をむき出しにして吐き捨てる。「女王は生きている!」
イリンはしばらくの間、黙って彼を見据えていた。「お越しになることは分かっていました」声には静かな反抗心が込められていた。「ご自分を見失われております。王子」
「私が来ると分かっていながら、探そうともしなかったと?きょうだいはお前の目を抉り出していただろう」
「女王はもう、私どもに何ら望んでおりません。王子...あなたにも」
怒りのあまり、もう少しで彼女を手にかけるところだった。もちろんマラは反対するだろう。彼女は今、彼と共にある。肉体はなくとも確かに実在しており、視界の隅で踊っている。もう少しよ、と彼女は囁く。この場所から解放して、ユルドレン・ソヴ...
「神経が衰弱されているようです」イリンが反発と同情の入り混じった口調で言う。「ご崩御の知らせに触れた時は、私も気が狂いそうになりました。なぜ、そのような...モノと、旅をされているのですか?ご来訪の目的は何ですか?」
率直に答える。「終わらせに来たのだ」冗談に聞こえぬよう、微笑む努力までしてみせた。彼は真実を語っている。「気づいたんだ。きょうだいを驚かせようだなんて、私は馬鹿者だったよ。我々は皆、彼女の計画のなかで存在しているのだから。イリン。彼女の同意があって初めて行動ができる。私は彼女を救いに行くが、それは彼女がそう頼むからだ。死んでほしいと言われたなら、死ぬ。そして、アウォークンのための偉大なる計画が完成したとき、アウォークンも死ぬ。すべてはマラのおかげだったのだから、そのために死ぬのは大いなる名誉だろう。目的を超えて生き続けることは、間違っているのだ。信じてくれ。彼女のいない人生は、どれほどの言葉をかき集めても嘆き足りない...」
そこで息が詰まった。言葉を継げない。視界の隅でマラが、悲哀を湛えた気遣いと、優しい思いやりに満ちた視線を注いでくる。今までずっと、そうしてほしかった。
その日の晩、彼はリーフに投降した。