ファナティック | 第2部
かすかな囁き、ほんの一瞬の安堵、わずかな震え...ユルドレン、私の救世主...
その声に彼はついてゆく。スラスターの炎に晒され、体が傷ついた。傾いだコルベット艦を降り、支配下に置いた小惑星の地を踏む。粉々のサービターとシャンクの残骸が見える。敗北の様相を呈しているのは明らかだった。ガーディアンがフォールンの一団に奇襲攻撃をかけたのだ。
スーツの化学受容器がエーテルの痕跡を検知する。彼はそれを追いかけた。
見つけた。フォールン・アルコンだ。砂埃の中でぐしゃりとつぶれている。射創の入り口と出口からエーテルがシューシューと音を立て、凶暴な太陽光に焼かれている。ゴールデンガンの印である。砂埃の中で点々と続くガーディアンの足跡を見透かし、嫌悪の溜息を漏らす。奴らは連れ立って、この場を急いで去ったに違いない。他の土地を我が物にしようとしているのは明らかだ。そこには採鉱者の一団を乗せた小型船が降り立ってきていたが...
とにかくアルコンの傷を調べる。致命傷だ。ユルドレンの腕の中でガタガタと震えている。何でもいい、何かしてやりたい。哀れな兵士に少しでも穏やかな最期を迎えさせてやりたい。民らが褒めそやしていたきょうだいの力が欲しい、この隣人を救うために。
いや、本当に自分はそれを願っているのか?この哀れな者を救いたいと願っているのか?
そうだ!願っている!
アルコンの傷を縛っている間、目が熱い同情の涙でいっぱいになった。素早く優しい手当てを終えると、すすり泣きが漏れた。このような仕打ちを行ったガーディアンが憎い。涙がアルコンの傷の上に染みを作る。ユルドレンの指の隙間から吹き出すエーテルが、徐々に重く、黒く、毒気を帯びてゆく。彼はそれに気づかない。
やっと彼は、手の甲で目をぐっとこすった。目が痛い、ずっと痛くてたまらない。無印のヘルメットの下で、4つの瞳が生気を取り戻し、驚きに見開かれていた。アルコンがしわがれた声で呼びかけた。ユルドレンに対してではない。死にゆく者が見る幻覚の、欠片のような名残だろうか。死後の世界で会いたいと、願っている相手かもしれない。「父さん...?」