グリモア: アイアンウッドの木
「暗黒時代に人を記念してどうするんだ? 覚えるべき奴らのことは、こんなことしなくても忘れないはずだ」
放浪者はアイアンウッドの木の前でかがみ、地面に散らばった供え物に注意を向けた。アミュレットは鉄の豪傑の印のように意匠を凝らしたものではない。だが、丹精が込められた手作りの品だ。ジョクサーの名前がはっきり読み取れる。文字は鮮明だ。
「ヒーロー気取りでバカなことをするからだ。しかも志願するなんてな。後を追うのは賢明じゃないってことを俺たちに教えるために、一番初めに入ったんだ」放浪者がニヤリと笑う。「プライミーバルが相手なら勝機があったはずだ。勝てば大儲け。負けたとしても、もっとマシな死に方ができたはずだ」
傍でシャックス卿が姿勢を変え、そのヘルメットが放浪者に向く。
「だがそうなっていれば、お前はここに立ってはいなかっただろうな」
返事はない。