The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

記録92、93、94、95

記録92 今までのことは全て、生きるためにやってきたことだ。それなのに私はなぜか今ここに立ち、深淵を覗き込んでいる。死が私をにらみ返してくる。 弱音を吐いている暇はない。強くなれと言われてきた。 でも、どうすれば? こんな状況で、冷静でいられる者がいるのだろうか? これは私の気持ちより優先されることだ。それを忘れるなと言われる。 繰り返すが、そこまで冷静でいられる者がいるのだろうか? 冷静な者… その迷わない心。そういうことだろうか。だから私はこんなことを考えているのだ。絶望的な状況に追い込まれ、冷静さを失っている。 全ては生きるためにやってきたことだ。今でもそうだ。そのはずだ。 つまり… 私はやる。やるしかない。やるしかないんだ。 彼女のために。 --- 記録93 由紀は研究所にいる。もはや時間の問題だ。 私は不安を抑えることができない。日に日に宇宙は小さくなっていき、人類は徐々に解体されていく。これを止めることができなければ、私たちはどうなってしまうだろう? もう銃の製造に関する不安は消えた。他の選択肢は残されていない。 ブラックアーマリーの成功は重要なことだ、それなのに、今朝は目を覚すと同時に利己的な考えが頭に浮かんでいた。もし私が逃げ出したらどうなるだろう? 由紀なら皆を引っ張っていけるはずだ。それ以外の者でもいい。誰かに任せてしまえばいい。 そして私はコーヒーを飲み、少し泣いた。でも自分を哀れむのはもう終わりだ。そんなことをしている場合ではない。 急いで作業を進めるのは良くなかったかもしれないが、全てが上手く行くことを願っている。この手のことは地球上のどこでも実現していない。例え問題が起こったとしても、クロビス・ブレイに連絡することはできないだろう。 私の人生を賭けた計画の命運は今、由紀に懸かっている。 私はもうヘトヘトだ。 鳥の声をもう一度聞きたい。生き延びているといいのだが。 --- 記録94 破壊された出入口をできるだけしっかりと封印した。忙しくしていたおかげで、研究所での出来事を忘れることができた。まだこれからどうなるか分からない。 とにかくここにはいられない。彼らは必ずまた攻撃してくる、そうなれば今度こそ終わりだ。 研究所で作業を終わらせるような時間はない。屋外でやるしかない。 夜明けと同時にここから脱出する。 --- 記録95 今朝、彼女の死体を埋めた。 由紀と一緒に簡単な葬式をした。 後ろを振り向いている暇はない。早く逃げなければ。