The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

フロップ

今俺はバンガードと上手くやってるけど、そうじゃないときもあった。敵対していた訳じゃなくて、違うレンズを通して物事を見ていただけだ。 でもアンダルは? 人付き合いはあいつの特技だった。いつも…「外交的」だったと言うべきか? 当時の俺達の一番大きな仕事は…バンガードの鎖を緩めることだった。俺達がもっと冒険して、拡大のための新たな時代を切り開けば…体制側の富が俺達の手に入る。 「俺達の富」とは、みんなの富ってことだ。もちろん、俺達ももらうものはもらったけどな。 振り返ってみると、俺達はあまりにも野心的だったんだ。 当時はそう思わなかったが、まあそういうもんだろう。 バンガードに加わった頃のアンダルは、いわゆる内通者だった。俺達は互いにいい取引をしていた。アンダルは隠れたお宝やフォールンの動向に関して、俺達に情報を提供する。シロウと俺はフライング気味に走り出して、先手を打って、いただけるものはいただいて、残りをシティに届けた。 一番美味しいところをぶんどったのかもしれないが、礼節はわきまえていたぜ。「仲介手数料」をもらうのは当然だろう? おそらくこういうことは、全部あけっぴろげにしないほうがいいかもな。人は人を裁くのが好きだし…「若気の至り」の時効は何年だ? まあとにかく…ずっと昔の話だよ。でも俺が言いたいことを伝えるには、過去の話が必要なんだ。 時に道をそれることもあったけど、俺は常に正しくあろうとした。アンダルがバンガードの仲間になったのは、恵みでもあり失望でもあった。でももっと大事なのは… 「挑戦」を受けたアンダルは、俺と取引をしたんだ。 そして俺が勝ち、あいつは負けた。 だからあいつは過去の自分を捨てて、バンガードのお偉方の仲間になった。そして俺にあることを思い出させてくれた。昔から知っていたが、時々忘れちまうあのことを… そうさ、あれだよ。「約束は守れ」ってことだ。 でもタワー(俺に言わせりゃ「檻」だ。アンダルはそう呼んでなかったぜ)での暮らしが長くなると、アンダルはどんどん「バンガード的」な考え方をするようになっていった。今になって考えてみると、奴はただ正しいことをやろうとしていただけだ。でもアンダルは確かに変わっていった。あいつがガーディアンとして、そして人として成長していく様を見ていると… 今まで一度も認めたことはないが、俺は…あいつを見くびるようになった。俺の親友にして、一番大事な仲間を…でも奴は約束を守っただけなんだ。「挑戦」を受け入れて、ひどい結末を迎えたのに、少しもためらわずに約束をきちんと守った。 バンガードなんかの仲間になって、お楽しみは全部俺とシロウのために残しておいてくれた。 何ておめでたい奴だって思ったぜ。 でも、おめでたいのは俺だけだった。