The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

高揚

まだ分からないなら教えてやるが、俺はそんなに優れた語り手じゃない。でも上手くやろうと思えばできるぜ。「さあさあ、皆様お立ち会い!」ってな。信じられないって? じゃあC.C.に聞いてみな。あいつは信用できない? じゃあ中佐でもいい。あの2人は、信じられないようなことをたくさん知ってるからな。 じゃあこいつは? この「事実を基にした話」はどうなる? 俺は回りくどい言い方をしている気がするな。くだらない昔話や大げさな表現で、真実を隠しているのかも。でも努力はしてるんだぜ。しっかりして、伝えるべきことを伝えないといけない。そのためには先にアンダルの話をしないと。 アンダルと「挑戦」の話さ。 俺の、俺達の「挑戦」。 ハンターの「挑戦」だ。 そいつは全く馬鹿げている。 でも名誉が関わる問題なんだ。 「挑戦」のせいで…いや、俺のせいで、俺は友達を失った。 だがその話の前に、タニクスに登場してもらわないとな。困ったことに…「挑戦」が決まったあとでタニクスが現れた。俺の「挑戦」のあとで…結局はタニクスの話だ。 知らない人のために教えておこう。タニクスはフォールンの傭兵だ。どのハウスにも属していないが、金さえもらえるなら誰の味方にでもなる。フォールンは基本的に奴とは取引しないが、仲間に任せられない仕事や極秘任務があるときは、キャプテンやアルコンやケルがタニクスを頼る。 昔、俺とシロウとアンダル、あと何人かは、ヤバいレーダーに引っかかっちまった。フォールンのハウスが俺達の首に賞金をかけたんだ。大量のグリマーとエーテルを。タニクスはそいつ目当てに仕事を請け負ったが、俺達だけそのことを知らなかった。フォールンを抜けた奴が暗殺に手を染めたって噂は聞いていたが、雲をつかむような話だったから、俺達は真剣に取り合わなかった。俺達ならいつでも、何とでもできると思っていたんだ。 もちろんフォールンがヤバいことには気づいていた。奴らの脅威を毎日ひしひしと感じていたからな。だがフォールンのブギーマンが、しかもハウスに属さない一匹狼が、ガーディアンを1人ずつ片づけちまうって? ハッ、そんな馬鹿な! だが「そんな馬鹿な」ことが現実に起こったんだ。 タニクスの第一印象は…「図体がでかくて態度が悪い」。 次に気づいたことは…奴はニアン・ルオの死体の上に立っていた。彼女のことはよく知らなかったが、何度か一緒に仕事をしたことがあった。その日の仕事は、ちょっと行って帰ってくればいいだけだった…はずだが、タニクスがそこに現れやがった。 ニアンが起き上がる気配はなかった。そしてシロウの部下のラッシュはゴーストを失った。完全なRTL…「『光』への帰還」だ。全ての終わりってことだよ。 視界がぼやける中、俺達はその日の収穫を捨てて、命からがら逃げ延びた。どうやってタニクス達をまいたか、今でもよく分からない。多分運が良かったんだ。 もちろん、あの厄介者から逃れてもまだ終わりじゃなかった。 シロウと俺は戻ってすぐアンダルに知らせたかったが、このとき奴はまだバンガードのメンバーじゃなくて、西の埋蔵品を手に入れようと2回目の挑戦をしていた。アンダルに会えたのは翌日の夜だった。 ニアンのことを俺達はアンダルに話した。ラッシュはゴーストを失ったせいで様子が変だったが、責めることはできなかった。今でも責めちゃいない。 その後、俺達は馬鹿をやった。 うぬぼれたんだ。