The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

壁に書かれた影

私はカルムを別の名前で…私が大嫌いな名前で知っていた。 「放浪者」はカルムのチームと一時期つるんでいた。もし彼らがもっと早く出会っていたら、足並みそろえて悲しみの道を歩んでいただろう。 だが…カルムらは足並みをそろえ過ぎたのかもしれない。おそらく「放浪者」のギャンビットは、彼らのためにあったのだ。 おそらく「放浪者」が最初にタワーに来たときに仕かけた餌は、私のための餌だった。おそらく私達は皆、自身の目的をもてあそんでいた。でもくよくよ考えても仕方ない。道が敷かれたら歩くしかない。最後のカーブの先に死があったとしても、私達にできるのは恩返しをすることだけだ。 カルムは自分専用のアジトを持っていると「放浪者」は言った。カルムのチームは、私の目から逃れるために個別に仕事をしていると。1人だと逃げるときに苦労するだけだが、集団ではすぐ足がついて捕まってしまうからだ。 なるほど。6人なら…6人から成るカルムのチームが散らばり、探しものを別々に探せば、私をかく乱することができる。宇宙の各系をまたぐ彼らの行動に関して、矛盾する話を聞いていた私は、正しい情報を追えず苦労していた。 しかしカルムのアジトというのは、1度調べてみる価値がある。 この世の地獄での2週目が来ると、私は「放浪者」が一石二鳥を狙って私をだましているのではと思うようになった。「影」が存在した徴候があったが、それらは古くて役に立たなかった。私は待った。暇なときは宿られた兵を撃って時間をつぶした。 だが待った甲斐があった。 カルムが来たのだ。彼の姿を見るよりも、ゴーストと言い争っている声が先に耳に届いた。2人が他の連中の居場所のヒントを漏らすのではと期待しながら聞いていたが、そこまで好都合にはいかなかった。口論がどんどん激しくなり、カラムは言ってはいけないことを言った。ゴーストは怒っていたが無理もない。 ゴーストは彼を偽名ではなく本名…つまり「カルム」と呼んでいた。彼女はまだ彼のことを思い、希望を捨てていなかったのだろう。すると彼女が突然叫んだ。 私は銃を抜いて、光の中へ踏み出した。 カルムはゴーストを左手に抱えていた。周囲は静かだった。彼は右手に持った短剣で彼女の光学機器を刺した。その剣は、ある武器から発射されたギザギザのスパイクを加工して作ったものだった。名前すら言いたくないあの武器から。 ゴーストは死んだが、カルムはただ笑っていた。次に何が起こるか分かっていたのだろう。 彼と私の間で言い合いになった。私にはチームを皆殺しにはできないと彼は言った。そして薬包を落として、彼を撃った人物を追いかけた。 私はタバコに火をつけて、壁に彼の絵を描いた。言葉は何も足さなかった。 ——背徳者による「放浪者」の観察記録