The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

悪しき考えの救い

この時点で「放浪者」は私の信頼を勝ち取っていたが、それもほんのわずかだった。信頼が簡単に手に入ったのは、もうずっと昔の話だ。 私にはまだ分からないことがあった。彼の狙いも、彼を狙っている者も不明だった…生き残るコツは、次に何が起こるかできるだけ正確に知っておくことだ。 これは私が君の所に行くほんの少し前のことだ。その時私は、抱えている問題がそれ以上大きくなる前に、物事を整理しようとしていた。 とにかく、私は彼と一緒に外出し、2人だけになれる場所を見つけた。そして彼は、彼の遺物もアーティファクトもガラクタも、全て見せかけである証拠を示してくれた。我らが怪しき友人は、ちょっとした地獄を縄にかけたということだ。 ガーディアンは宿られた兵に戦争をしかけている。シティの最も新しい伝説が亜空間に侵入し、宿られた兵の頭蓋骨を蹴り壊している。そんな時に、「放浪者」はウォーロックの真似事をしていたのだ。今ではそうではないことがはっきりしている。とにかく、それが共通認識というやつだ。好奇心から強さを引き出し、知識によって認識を自分の都合のいいように曲げる…そうしてこのろくでなしは、ニセの上品さやその限界を脱ぎ捨ててきた。 君達が略奪した酒で酔ったり、敵の死体の上で踊ったりして楽しんでいる間に、彼は観察し、学び、盗み、計画を練ってきた。 彼の行ないが善だったかどうか、そんなことを保証する気はない。保証どころか、私は強く疑っている。でも現実はこの通りだ。 フォールンの部品で改造されたベックス、ハイヴの魔法、そして漁ってきた黄金時代の科学に正体不明の何かを混ぜると、彼という… ちょっと待った。不吉なことを言っているのは自覚している。私達が処理しなければいけないトラブルの話をしているのは…しかし… 彼は亜空間に小さな土地を確保したのだ。それは王座の国のような規模ではないが、無視できるほど小さなものでもない…そして彼は姿を消し、宿られた兵の軍勢を囚われの身にした。彼らはオリックスの配下の生き残りなのか? 何か新しいものか? それとも古いもの? あるいは「彼女」のものか…私には分からない。ただ彼の手によって、彼らがここに連れてこられたことは確かだ。彼らを保管して研究すると彼は言っているが…賭けてもいいが、彼の狙いはそんなにきれいなものではないだろう。 目的が純粋かどうかはともかく、彼が私に見せたかったものがこれだ。彼がここに来た理由は…彼のギャンビットだ。宿られた兵と彼らを縛りつける力…彼はそれを制御する方法を、人類に、自らを「ガーディアン」と呼ぶ愚かな我々に、教えようとしている。 不吉な予感しかしないが…私もその点には同意する。 彼はもっと壮大な絵を描いているのかもしれない。ろくでもないアイデアは、最善の選択肢になりうる。 唯一の選択肢になることも。 ——背徳者による「放浪者」の観察記録