撃てばいいってもんじゃない
「銃撃戦の状況を見極める時、考えることは大量にある。たいていの撃ち手はひたすら、神経を高ぶらせないこと、冷酷な目線を保つことに集中する。それも大事なことではあるが、やり手の中でも別格な奴は、はるかに多くの要素に気を配っている。
「空の光量、あるいは翳り具合。気温の高低、風向きと風速。まだまだあるぞ。足下。土壌はしっかりしてるか、軟弱か?足場は動いていないか、滑らないか?こういったことは全部、土壇場で効いてくる。
「ホルスターの損耗に、銃の微妙なグリップ感。
"まあ、本物のやり手から真っ先にもらう助言としては、勝負は必ず慣れた道具で受けること、だろうな。状況的にやらざるを得ないとか、そこに名誉がかかってるとかでない限りは」
C.C.ラグランジュ訳『フォールンの書——「入り組んだ岸辺」に関する覚え書きと観察』より抜粋