さげずまれた者の道
「生きていくのは簡単だ。邪魔者をすべて消せばいい」
C.C.ラグランジュ訳『フォールンの書——「入り組んだ岸辺」に関する覚え書きと観察』より抜粋
サービターを集めはじめたのは、マシーニストのエリクリスだった。執行人のレクシスは、至る所でそれを壊した。この2人は相対する動機で動いている。1人は科学、信仰心など持ち得ない。もう1人は怒り、そして止めどない破壊衝動。
両者間には長いこと緊張感が張り詰めていた。それというのもレクシスが、マシーニストの作業所に忍び込む常習犯であったからだ。目的はそこでケージに入れられている、サービターを虐待すること。
彼らの精神的指導者たるファナティックであり、かつてアルコンプリーストでもあったフィクルルは、2人のいざこざを辛抱強く見守っていた。憤怒に芽吹く強さを眺めていた。火花と怒号の飛び交う光景ではあったが、それ以上に——新たな道が開けていると感じた。彼らの情熱を強め、さらなる高みへ導いてくれるかもしれない道だ。そのための諍いくらい大目に見よう。
そのようにチャンスをうかがっていたフィクルルだったが、件の2人はますますヒートアップし、バロンの絆を脅かしかねないところまできた。ある夜エリクリスが、小型サービターを1コンテナ分、執行人が「虐殺」しようと準備しているのを見つけてしまったのだ。「もう限界!」——そこにフィクルルが入ってきた。
彼はエリクリスに近づいて言った。「サービターを持ってきてごらん」レクシスが期待を込めて薄く笑う。エリクリスは躊躇した。待ち続けるフィクルル。「信じてくれないかい?」
エリクリスは包装を解いた。
フィクルルはその1体に近づき、エリクリスに向き直った。「たくさん集めたね、マシーニスト。何百体...いやそれ以上だ。私たちの物資、ひいては生命力は、従属型メカニクスによって供給されている」エリクリスはサービターを見て頷いた。それは少しだけ、アルコンの開いた腕へ近づいた。小さな子どもを受けとめるように、かつて崇められていたその球体を、フィクルルは優しく迎え入れた。
もう片方のバロンが叫び始めた。挑発のリズムで、何やら喧嘩腰に喚いている。
フィクルルはサービターにハグをした。柔らかな抱擁を与えつつ、次の声音は悲しげだった。「サービター、君はよく働いたけど...私たちの仲間としては力不足のようだ」「私たちは、私たちの敵を飢えさせなければならない。君が昔、そうされたようにね」フィクルルの前腕がぼやけはじめ、磨き抜かれた1対のショックブレードが、火花を散らして表出する。「私たちが皆、そうされたようにね」
サービターはアルコンの力強い上腕にしがみつきながらも、甲高い、痛みと混乱が交錯したような——いわばデジタルな苦悶の声をひとつ上げた。フィクルルの刃は外殻に収まり、体内の深部へと還っていった。最後に、しゅう、とエーテルの霧が上がる。
フィクルルは物言わぬ筐体を解放した。非生命体であるそれは、ごとりと地面に横たわる。彼はエリクリスに言った。「分かったかい?」彼女は破顔した。エリクリスは、興奮しすぎると冷静さを欠くきらいはあったが、もともと仲間内で一番聡明な子であった。
バロンは長きにわたり、アウォークンやリーフのフォールンにとって悩みの種であり続けてきた。だが悩みの種とは言いつつも、とりうる手段がゲリラ戦法に限られていたのも事実だ。フィクルルがたった今示して見せたのは、その現状に対する新しい道、というわけだ。
次はレクシスに歩み寄る。「分かったかい?」彼は答えた、というより吠えた。「全部ぶっ壊せよ!」
フィクルルは笑った。「一気に全部は、得策ではないよ。必要なくなった分から減らすんだ」
フィクルルが言葉を続けると、2人はにわかに活気づいた。「ハウスに隷属している、ありとあらゆるサービターが標的だ。最後に残すのは、私たちの生活に必要な分だけでいい」