不機嫌
[VanNetの暗号化ルーターより報告]
サバスンの介入に対する反発。彼女は我々がピラミッドに直接アクセスできることに嫉妬しているのかもしれない。彼女はハイヴを暗黒まで導いた。だが彼女にはその選択を後悔する時間が十分にあった。これを活用する手立てはあるのか?
[ハイヴの革にイオの石で刻まれた私信]
私にしてみれば、ガーディアンによる集団的調査は屈辱的だ。彼らは私に対してあらゆる憶測を行なっている。彼女はマラ女王の不運な腰巾着なのか? 古代原始ハイヴの婦人か? なぜ彼女はクオーツチップのデータとパンノキを交換したのか?
サバスン、あらゆる暗号の女王。偏執的な放浪者にしか解読できないほどメッセージを歪めたのは、ほかならぬ彼女だ。
ハイヴの奇術師はなぜ彼女の神と我々の接触を拒むのだろうか?
全てが罠だというのが最も簡単な答えだ。負けたとしても、「全て私の計画どおりだ」と言い訳ができる。彼女の計画は失敗しようがない。何しろ奴らのことなど誰も理解していないのだからな。
だが、彼女が深淵に抗うだろうか?
その可能性はある。サバスンという呪われた存在は必然的に混乱をもたらす。彼女を理解するには彼女を破壊するしかない。彼女は今でもブラックホールに我々を引きずり込もうとしているのだろうか? 新生の宇宙で真の神になろうというのか? あるいはそれも嘘か?
私は今まさに、彼女を脅かすような発見をしようとしているのかもしれない。
木星は常に真上に存在している。夜になると空全体が燃え、イオと木星の軸を繋げている磁束管の中で、山のような硫黄が炎を上げる。私がゴミを燃やすと、そこから延々と煙が上がり続ける。そして無線は狼のような遠吠えを響かせる。
私は孤独だ。