溺れしキャプテン(3)
エイドは、集まった幼子たちの前に立った。子供たちは不安げな様子でお互いに寄り添っている。近くにはぶらつく放浪者の姿もある。
「溺れしキャプテンに怖いものはありません」エイドは抑揚をおさえた声で語った。「洞窟の入口に3つの光る目が見えた時、彼はすかさずバーンと撃ちました!」エイドは4本の腕すべてを使って、激しい銃撃を演じる。
「しかし、彼が撃ち終わっても、怪物は倒れません。それどころか…」と、エイドは声が乾いた囁きになるまで低くし、「ちょっとずつ近づいてきたのです」
「怪物の目からは紫色の炎が溢れていました」エイドは前を身を乗り出しながら言った。「そして耳をつんざくような叫びを上げ――」
放浪者は出番とばかりに、身の凍るような叫び声を出す。幼子たちはびくりと飛び上がり、恐怖のあまりにキチキチと声を出した。
「そしてその叫びが止まった時、ハウス・オブ・ダスクの溺れしキャプテン、フィザンの姿はありませんでした」とエイドは囁いた。「そして、それから彼の姿を見た者はいません」