失われたリージョン(14)
「お話の機会をありがとう」エイドは明るい口調で言った。サイオンが首をもたげて会釈したのを見て、エイドもそれを返す。
「カイアトル女帝陛下にもお話を聞いたのだけど、この件についてさらに詳しく知れないかと思って」
エイドは自分の心の表層に柔らかな、拡がるような感覚を覚えた。優雅な了承と言ったところだろう。
「私、とある情報を探していて、ヘッドレスについて――」
頭部の無い生物という概念が思い浮かび、アドレナリンが吹き出す。押し寄せる気持ち悪い恐怖感がエイドの心に流れ込み、彼女も思わず飛び上がる。サイオン自身の思考はその恐怖そのものを増幅するかのようだった。エイドは目を見開く。
「あ、私そんな――」
悲鳴。空っぽな目から吹き出す紫の炎。
「本当にごめんなさい、私――」
悲鳴。飛び交う紙吹雪の嵐。
「あなたの気分を――」
悲鳴。キャンディ。そこら中に散らばるキャンディ。
「…害するつもりはなくて」