The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

家族同然

ああ、デヴリム。デヴリムに会って好きにならない人なんているかしら? 面倒見がよくて、困っている人がいれば必ず助けるような人だ。奥地に戻ってから何度も会った。みんなの様子を見たり、問題がないか確かめるために時々立ち寄ってくれた。何度かは一緒に座ってお茶すら飲んだ。本当に優しくて誠実な人よ。みんながああだったらいいのに。 戦いについて何度も話をして、私に武装するよう一生懸命説得してきた。「外の状況は知ってるだろう」って。あんな光景忘れる訳ないのに。 何度も何度も話し合ったわ。あえて戦わずに済む仕事をしてるんだと説明した。その方が私の実力を発揮できるし、そっちに集中するつもりだと。 一度、デヴリムが頑なに譲ろうとしなかったことがあった。「エヴァ!」デヴリムは、きっと彼自身が出すつもりだったよりも大きな声でついに叫んだ。その目は怒っていると言ってもいいぐらい血走っていて、私の目を見据えていた。「これは仮定の話じゃない。実際に自分の身を守らなければならなかっただろう。もう一度そうならないとなぜ言える。カバルは引き下がらない。しかも、脅威はカバルだけじゃない。それをわかっていながら身を守ろうとしないなんて… 無責任だ」 そう、私は自分の身を守った。そしてもう二度としたくないと思った。 「デヴリム」私は小声で、だけどしっかりとした口調で言った。「戦いにも銃にも暴力にも——もう関わりたくないの。もう十分よ。また巻き込まれたとしても——確かにありえることよ——それは仕方ないわ。私は治療に携わりたい。皆で立ち直る手助けをしたいの。必要なことでしょう? 哀れなデヴリムは、それでようやく説得をあきらめてくれた。その後も様子を見には来てくれたけれど。習慣を変えるのは難しいと言うものね。 ようやくタワーに戻ったとき、私を待ち受けていたのは何だと思う? ちょうど暁旦のお祭りが始まったところで、ポストマスターが荷物を届けてくれた。中には綺麗なピストル——凝った装飾で古風な色合いのピストル——と、手紙が入っていた。もちろんデヴリムからだった。 最初は腹が立った——あんなに話し合ったのに! そのまま銃を捨ててしまおうかと思った。でもそうはせずに、その手紙を読んだ。 「親愛なるエヴァ! 結局奥地を去ったと聞いたときは残念だったが、大事な友人と過ごせると知ってとても嬉しく思うよ。この気持ちと、暁旦の精神に従ってプレゼントを贈ろうと思う。うちで何世代も引き継がれて来たものだ。ケイ家の家宝だ——弾は撃てないから、捨てないでくれ。いい妥協案じゃないかと思ったんだ。受け取ってくれるといいが。 タワーでも元気で。 ——デヴリム」 何度か読み返してから、その手紙を折り畳んでポケットに入れた。 それからもう一度その美しい家宝、友情と家族の象徴を見下ろし、いろいろあったけれど、何とか友情と家族と再会できたという事実に思いを馳せた。 --- 紳士のショートブレッド: エーテルの茎とパーフェクトテイストと暁旦のエッセンスを混ぜて焼く