The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

過大評価

バリクスはバンガードの司令官を直接見たことは一度もなかった。目にした経験があるのは、エージェントによる隠し撮り画像か、真の人柄などわかりそうにもない内輪の調査報告書だけだ。ザヴァラの「巨体」のほとんどがアーマーであることにも、今気づく。実物は痩身ながら、張りのある筋肉としなやかさを備えていた。 しかし彼の前に立つと更に気づく。ザヴァラの落ち着きと自信は光と共にあり、周りの空間を支配している。マラ・ソヴ本人に謁見したとき以来初めて、権力者の空気を感じた。他ならぬケイドすら、この男と同じ空気は纏えない。 実に興味深い。 バリクスには、光と立ち居振る舞いの向こうにある、偉大なるザヴァラの弱みと不安が見てとれた。そこまで踏み込み、自分の価値を彼に証明する必要がある。 「バンガード司令官、ザヴァラ殿」バリクスはひざまずき、手のひらを上にして腕を床につけた。視線は外さないよう気をつける。判定式の礼で、権力者の存在を認めていることを意味している。 ケイドは後ろでニヤけつつ、何も言わなかった。 「このバリクス、ご援助を受けたくまかり越しました。これは結果として、リーフを救ってくださったガーディアン——バンガードをお助けすることに相成ります」 ザヴァラはバリクスを見下ろした。判定の書記官は、その間に多くを嗅ぎ取った。不屈の精神。激しい情熱。必死の想い。 「立つがよい、バリクス」ザヴァラは命令を下し他人を従わせることに相当慣れていた。バリクスは言うとおりにした。「何が望みだ?」 「リーフの未来です」ザヴァラの視線に探られながら、低いしわがれ声で続ける。「リーフの子らは破滅の危機に瀕しています、アウォークンのザヴァラよ。フォールン、宿られた兵、レッドリージョン。揃いもそろってリーフを切り刻み、その血肉を喰らわんとしています」 「支援なら、戦争の後にペトラへ申し出たはずだが」彼の声はぶっきらぼうだが、取りつく島がないわけではない。「そして彼女は断った。状況が変わったと言いたいのか?」 「その通りです、司令官」音声にノイズが混じった。「他にもたくさんのことをお知らせしなければなりません。あなたのような、真の指導者にこそ」