The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

紡糸

ウォーロックは座り、水に手を沈めて口ずさむ。野生のプーカが、指にぶつかってきたり、興味深げに水中から跳ね上がって水滴を四方八方に散らしたりしながら行き来する。ウォーロックは別に気にしていない。数十匹の生き物がウォーロックの行動を気にかける中で孤独を感じることは不可能だ。 瞑想とは独りですべきものなのかもしれないが、これは心地がいい。 1年前、ウォーロックはお互いの安全を気遣う絆の深い6人のファイアチームの一員として、仲間と共に行動をしていた。星々が滅びるまで、と思っていた。ずっとこのままやっていくのだと… 今は奇跡的な惑星にある不可解な住処にウォーロックが独りでプーカの群れに囲まれている。ウォーロックは仲間と一緒にいるときのあの感覚を切望していた。 その手には水ではない何かがある。ウォーロックが慎重に、興味深そうに手を水場から持ち上げると、そこには緑色の何かがあった。並行する糸と螺旋状に動くストランドと同じ新緑だ。だがどうやらこれは生きているようだ。 それは素早くウォーロックの手から肩へと駆け上がる。その道筋には暖かさが残っている。小さなストランドの生物が、静止したままのウォーロックの頬をかすめ消え去る。残るのはそれが最初からそこにいたという感覚と、かすかな緑だけだった。 少ししてプーカが再び集まり、鳴き声を上げながら飛び跳ねる。ウォーロックはプーカを数匹追いやりながらも笑わずにはいれない。瞑想をしているはずだったのに。 だがウォーロックはここに独りになりに来たわけではない。そもそもすべての生き物によって紡がれる網の目につながっていながらも、独りになれると思うことは愚かだ。ウォーロックは息を深く吸い込み、再び水に手を入れる。プーカと小さな緑の瞬間のつながりがその周りに集まる。 上手くいっていないこともあるかもしれないが、今のままのほうが好ましい。本当に独りになることは絶対にない。すべてがつながっているこの世界で独りになることなど不可能だ。