The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

粗糸

ネオムナはハンターが走るのに素晴らしい場所だ。特にこのハンターにとってはうってつけだ。 ここでは命の躍動が透明な川のように、表層の近くを走る。まるで渡り鳥のように、稲妻が走る直前の息が詰まる瞬間のように。ここではストランドが縄のように頑丈で、しなやかに指に絡みつく。彼はただ走り続けるだけでいい。彼が足を止める必要などどこにもない。 足踏み、そして自由落下の高揚。存在そのものの編み目を掴み、飛び込んだ勢いのまま振りあがる感触。動作の中で彼は向きを変え、街灯りに照らされた黄銅や黄金の輝きを見つけ、通りにベックスがいることに気が付く。 奴らもまた、同じ流れの一部なのだろうか? どうであれ、奴らも編み目の中で反響する。まるで流水を漂う花のように。ハンターは止まることなく建物から建物へと飛び、すべてのベックスが合流する場所を容易く見つけ出す。彼はその中心に結び目を落とし、そのまま飛び去る。 止まることなくただ動き続けることのなんと素晴らしいことか。 高揚が過ぎ去り、科学のために小さな仕事を引き受けた彼は、ネッススにそびえたつ絶壁の人工建造物の境界の天辺に止まる。安全な昇降機があるが、彼の知るハンターの中でそれを使ったことのある者はいない。彼らはいつも命知らずの落下を選ぶ。 あの暗黒のアーティファクトが街そのものを支える海王星のネオムナでは、編み目を探すのは容易いことだった。ここでは… ネッススではそこまで表層に近くないのかもしれないが、彼は手を伸ばすべきものを知っている。そして暗黒もまた、彼を知っている。ハンターは世界の織機の美しい縄を両手に巻きつけ、空中へ飛ぶ。すぐさま笑いとストランドが彼を宙に浮かせる。感じるのは歓喜と自由、そして壮大な存在への驚嘆。 ベイルが近くにあり、それに包まれている状態であればコツを掴むのは簡単だ。だがストランドは臨在する。そうじゃないことなどあり得るのか?