英雄の哀歌
おまえは特別だ。彼は平凡だった。最初は。ただ特別だ。他の者と同じ。
あきらかにそれはすべて変わった。時とともに...彼は疎遠になり、目立つようになった。
彼女が彼の性格に合うようになるには時間が掛かった。彼にとってもそうだったようだ。皆が知るケイド6は、それだけではない。彼のウィットと遊び心は盾だった。彼の刃やハンドキャノンのように訓練された武器だった。
彼は彼女をサンダンスと呼んだ。理由はわからない。彼女によると古い伝説かららしい。ずっと以前のおとぎ話。私はいつも、彼女の閃き、動きの優雅さ、かるがると滑らかに動く様子からだと思っていた。彼らは完璧なペアだった。
彼が最も近い者たちのところに帰ろうと何度も考えたことは間違いない。そういうたびに状況が少しずつ変わったことも間違いない。ウィットと同じく、彼の伝説の構築は武器だった。
彼を知らない人、ケイド6自身の口からその話を聞く運に恵まれなかった人、その魅力、お気に入りの部分を効果音つきで語るときの動作、そういうものを知らない人のために、この話をお聞かせしよう...
これは過去のサイクルからの録音だ。完全な物語ではないが、ケイド6が関わるものに完全な物語などない...
「ブーン!目が覚めた。へろへろだ。混乱してる。二日酔い。みんな同じだ。だから最初のショックはおなじみだ。目の前にサンダンス。びくっとする。脳は動いているが、思い出せるのは自分が生きた生命体だということだけ。俺は人間だ。男だ。精神が分速千マイルで動き出す。ブン、ブン、ブン。「馬鹿でもわかる基本人間存在ガイド」をダウンロードしてるみたいに。いいよ。わかった。だがまだ何も思い出せない。魔法の浮遊ロボット球体みたいなもんが顔に向かってくるんだが、それと話ができる状態じゃない。びくっとする。反射的に、彼女を床にたたき落とす。強く...そして逃げる。
「走ってる。彼女も走ってる...あ、いや、彼女に脚はないんだけどな。彼女は俺のあとについてきてて、「そっちではありません!そっちではありません!」と叫び続ける。俺も叫ぶ。彼女の叫びにかまわず、俺は走る。夜だ。っていったかな?夜で、まだ目がよく見えない。俺は走る。ただ走る。何も見えない。思い出せない。死ぬほど怖い。頭の中は大混乱。そんな感じで走る...
「落ちる。まっすぐ。そう、走ってたら...そこに。崖が。低い崖だ。俺は弾んだ...何度も。いちいち痛む。やがて痛まなくなる。また真っ暗になる。それから...
「ブーン!戻ってきた!彼女は俺の足の上にいる。いつものように。それが俺たちの美しい友情の始まりだ」
ほとんどの者は園はなしを初めて聞く。聞いているうちに、彼が人間であろうとガーディアンであろうと、真実なんかどうでもいいという気持ちになる。そのための物語じゃないんだ。その目的は、ケイドの身にぴったりのアーマーに、これまでになくハマることなんだ...
彼は面白かったと思っていた。そして今はこれまでになく...
ケイドはみんなに笑って欲しいはずだ。
——シロウ4のゴースト、ケイド6を称える集まりで