中枢の後 | 第2部
「中枢...」ユルドレンはきょうだいの問いを反芻する。ほどなく記憶が混乱してきた。イバラの木立を走り抜けたとき、枝や棘で頬に切り傷ができた。はち切れんばかりの巨大な果実が肩にぶつかり、熟れすぎた果肉をまき散らした。果実は、重く膨張したゴーストのような形をしていた。すぐ外で争う声が聞こえたときは、分厚い蜘蛛の巣の下でジョルヨンと身を寄せ合い、息を潜めていた。それでも心臓の鼓動は...あれは私の心臓だったか?それとも...誰だ、誰の心臓だった?
気がつくとアパートの一室に座り込んでいた。見覚えのある洗濯室だ。白黒のタイルできた床。乾燥機の中でもモノトーンの衣類が踊っている...違う!あれはクロウだ。黒い羽毛が舞っている。嘴がガタガタ鳴っている。大柄なカバルの老婆が、彼の左側にあるたらいの中に腰を下ろした。針金のブラシで背中をこすり始める。腹からアリス・リーの顔が浮き出たベックスゴブリンが、カウンターの後ろで洗剤を売っている。「ユルドレン」声をかけられた。「あんた、穴が空いてるよ」カバルの老婆が、うん、うんと唸った。自分の体を見下ろす。手に黒い真円の穴が空いていた。乾燥機は時間切れとなったが、出てきた「それら」はまだ濡れていた。
「ユルドレン」マラが彼を揺さぶる。彼女は普段誰にも触れないのに。「あなたは中枢を見たの?」
確かに、ガーデンに中枢があるのは極めて自然な摂理のようだ。彼は口を動かした。「ベックスの群れがいた...自分たちの願う物を手に入れようとして。彼らは...そこで、望む姿に成長できるんだ」
「質問に答えていないわ」冷たい口調でマラが言う。全くもって正論だ。そして、ユルドレンが今までに聞いた彼女の発言の中で、最も奇妙だ。
「その場所の中枢が何であれ....」ゆっくりと答える。「種、だと思う。種が残って、そこで成長する。たとえば...グリマーのノードのような。あるいは...」稲妻のごとく考えが閃く。「あるいは、仕掛け。一種の罠だ。探索者を引き寄せ、その者らに理解できないものがあれば、それを滅茶苦茶にする」
ガーディアンをおびき寄せる餌だ。トラベラーを復活させるための、画期的な一歩になりうる。
「行ってはいけないと言ったのに」燃える瞳でマラが言う。彼女は外套をぎゅっと引いた。「あなたは私に身を捧げているのでしょう?」
「きょうだいよ、それはもちろんだ」
「そう言いながら、逆らうじゃない」
ああ、その通りだ。なぜならその2つは同じことだから。君の予想を裏切らない限り、この献身は顧みられない。
突然、底知れぬ孤独感が彼を打った。