The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

ジョルヨン

武器庫でジョルヨンに会ったとき、ユルドレンはぎくっとして息を呑んだ。自分が彼に対して、まったく信じられないほど配慮に欠けており、恥ずかしくなるほど不作法だったという事実に気づいたのだ。「やあ」と畏まらず呼びかけてみたものの、どう謝罪すればよいのか分からない。ガーデンから帰還して以来、ジョルヨンと話していない。女王にジョルヨンの働きを進言することもなく、彼の勇敢さを称える祝賀会も開いていない。あんなことがあって...その後よく眠れているかと尋ねることすらしていない。彼のことを忘れていたのだ。 「よう」ジョルヨンが、顔を上げずに言う。「昨日は練習場に来てなかったな」 「いやあ、お前に監視役は必要ないだろう」からかうつもりで言ってみるが、白々しく素っ気ない口調に聞こえてしまう。「最近どうだ?私は...」私は...夢を見ている。夢を記録している。起源書庫で血眼になって、裏付けを探している。真実であってほしいと熱望する事柄の裏付けを。アウォークンの未来は、ガーデンの中にある。それを信じさせてくれる事実を探している。地球には光の源がある。どんどん明るくなってゆく、目もくらむようなかがり火が。アウォークンが今のままの姿で生き残ることはないだろう。マラの展望とアウォークンの起源は失われ、シティ生まれの理想主義者たちが主張する、退屈な思想に出し抜かれてしまうだろう。ガーディアンどもは我々が見つけたものを、皆殺してしまうだろう。 もしもガーデンが、トラベラーのアンチテーゼだとしたら?もしもアウォークンがガーデンに、新たな均衡の地、闇と光の中間点を見つけられるとしたら?光が強くなるにつれ、闇は深くなる。 ジョルヨンが何か言っている。「あ...すまない」ユルドレンは、リボルバーをいじりながら低く返した。「何と言ったんだ?」 「あそこで起きた事について、話し合うべきだと言ったんだ」 「...そうだとも!」ユルドレンは漸く気づいた。ジョルヨンがあの場所の重要性を分かってくれないのではと、ずっと恐れを抱いていたのだ。嫌悪と恐怖は自然な反応だろう。しかし、その先の未来を見なければ。「全くその通りだ。記憶が薄れる前に、私たちの見たものをすべて記録しよう。もっと早くこの話をすればよかった——」 「ユルドレン、俺は見たことを誰にも教える気はない」 「そりゃあ...」ジョルヨンの言葉で、彼の心に温かく小さな火が灯った。「もちろんだ。誰にも教えない。私たちだけの秘密ってことだろう?」 「いや、全部忘れたいと思ってる」ジョルヨンは答えた。その手が撃針を取り落とす。床で鈍い鐘のような音が鳴り、それはベンチの下へ転がっていった。彼は拾おうともしない。「秘密を持たない主義でね」 その発言について、ユルドレンはしばらく考えた。根底の本音が吹きつけて、彼の心を凍えさせていく。「そうか...」ジョルヨンは自身の出自や血統をよく理解している。射手としての実力は公的に記録されている。ユルドレンのクロウの一員として、危険な偵察任務に就いてはいたが、諜報員ではない。ユルドレンは...ジョルヨンのことなら何でも知っている。 今度はジョルヨンが、大げさなくらい気楽な口調で聞いた。「明日は練習場に来るか?ひとしきり、一緒に撃とうかと思ったんだが」 「明日はだめだ」ユルドレンは答えた。「やることがある」頭の中では既に想像が始まっている。ガーデンで託宣エンジンを稼働させたら、マラはどう反応するだろうか。他には何があるだろう。彼がおそらく理解でき、彼女がきっと知りたがるようなことは...