流行のスタイル
暁旦の準備を進めていた時、初めてエイダ1に会った。彼女は私の店を訪れると、私が他の客と話している間、邪魔をしないように距離を取っていた。私は視界の端に彼女を捉えていた。彼女は身じろぎひとつぜず、静かで… 少し緊張している様子だった。
もしかしたら私の勘違いだったかもしれない。
客との話が終わって、彼女に作業台のほうに来るように促した。彼女はそれに応じると、一瞬止まって私の生地に目を落として質問をした。「暁旦はガーディアンの祝日なのか?」
私は笑った。ゴシップ好きの常連客から聞いていたが、エイダにとってシティの伝統行事は初めてのことだった。
「暁旦は皆のためのものよ」と私は言った。「シティの住人だけじゃない。お祝いする気持ちを持ってるなら、誰でも参加できる」
彼女はしばらく何も言わず、考えを巡らせていた。彼女が人見知りなのか、静寂を苦にしない孤独を好むタイプなのかは判断がつかなかった。そのどちらであっても私は構わない。しばらくすると、話は終わったらしく、彼女はこちらに背中を向けた。でもすぐに足を止めてもう一度私を見た。
「その模様は見たことがある」と彼女が言った。「この祭りのための配色だ。もし興味があるなら、いくつかアイデアがあるのだけど」
私は驚き、すぐに彼女の考えを聞かせてもらった。彼女が色とデザインに関して抜群のセンスの持ち主であることがすぐに分かった。彼女は別に暁旦のシェーダー作成プロジェクトを牛耳るつもりはなく、もの静かで有能なコンサルタントとして振る舞った。その翌週まで、私たちは一緒に長い時間を過ごしながら、生地をより分け、色を比較し、組み合わせを考えた。彼女は相変わらずどこか他人行儀だったけど、どうも私に親しみを感じ始めたらしく、シティの歴史ある伝統行事の一員になるのも悪くないと感じているようだった。
私はエイダのことを詳しくは知らない。でも彼女は暗黒時代を生き抜いた。あれは悲惨な時代だった。ガーディアンも今とは全く違っていた。
厳しい時代を生き抜くと、様々なことに影響を及ぼす。その経験が人を良い方向に導くこともあれば、その逆もある。彼女はその経験を通して、自分に合った生き方を手に入れた。そしてゆっくりとではあるものの、自分の生活を、タワーやシティで暮らす人々の生活と融合させ始めた。それは勇気のいる決断だ。心から尊敬している。