月 – 1
「私はこの現実の先を目にしてきた」エリス・モーンはそう言うと、顔の前で手を合わせた。「光と暗黒の先を」
「それはすごい」
「私は自らの剣に殺されるアハンカーラを見た。時が歪み、因果律のベールが切り裂かれる瞬間を」
「何てこと」
「自分のファイアチームが殺される姿を目にした。そして彼らの亡霊の姿に苦しめられた」エリスは空中に視線を漂わせた。「私は記憶から消したいものを数多く目にしてきた」
「本当にあらゆるものを見てきたんですね」とグリントは言った。「目隠しをしているのに!」
エリスの視線が目の前に浮かぶゴーストに戻った。「それでも、この人生で一度も見たことのないものが1つだけある…」
彼女がゆっくりと体を乗り出したため、グリントは思わず後ずさりした。「…顔から炎を吐き出すカボチャ頭の怪物だ」
「でも、もし――」
「一度たりともだ、小さき光よ」エリスは断言するように言った。「月にもいなかった。そんなものを見ていれば忘れることはない」