The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

嘘に惑わされて

「信用は盾。 信用は急所。 結局みんな、裏切り者になる」 C.C.ラグランジュ訳『フォールンの書——「入り組んだ岸辺」に関する覚え書きと観察』より抜粋 簡単な謎々を出しましょう。 「真実だけが、嘘を打ち破る力を持っています。では真実とは何でしょう?それは、誰の目から見た真実なのでしょう?」 バンベルガの小売商はどうでしょう?プシケの大量殺人鬼は?灰色リージョンのターミネーターも捨てがたい。シャドウベールの棘、旧バサのバンディット、ヴァリアンの束の間の安楽と恐怖を与えてくれるセイレーン... なんてね、これらの実体はみんな同じ。ただ1つの災厄にして、ありとあらゆる悲劇の裏に潜んでいるのは...? そう、あの嘘つき奇術師、雄弁なるアラスケス・ウィットです。 彼女がかつて、とある取引現場に連れてきたスパイダーは、すんでのところでその命を代償に支払うところでした。またある時は、およそ彼女ひとりしか得をしない儲け話に、まんまと10人ほどのバウンティハンターが乗せられてしまいました。アラスケスの手腕、口車、マインドトリックにまつわるエピソードには事欠きません。戦わずして勝ってしまう、彼女はそのような敵なのです。戦場で首を討たれた者と、彼女に寝首を掻かれた者、いったいどちらが多いことやら。 自分が何を知っていて、実は何を知らないか、本当は誰も分かっていません。お茶目な賢者は、そこを間違えないのです。 スコーンとされるバロンの中でも、警戒すべきはアラスケスです。真実を崩壊させるという、強大な武器を持っているのですから。はじめ彼女は、あなたに自信を与えます。そしてトランプを切るように、あっさりそれをシャッフルします。そして別の場合には、あなたに強い目的意識を持たせます。行動を悉く裏目に出させ、後悔のどん底に突き落とすためです。 もしもこの世界に神々なるものが存在するなら、彼女はきっと最初の悪魔。行動の予測など不可能で、不純で、あなたの肉体が滅ぶずっと前から、精神を舌先のオモチャにします。信じられないと言うのなら——まだ、彼女の欺瞞の巧を見くびっているのなら——自問自答してみてください。 あなたは彼女を「仕留めました」か?仕留めた場合、彼女は「死にました」か? どちらにもイエスと答えたあなた、既に彼女の術中です。 逆にもし... ...解説不要ですね、見込みのある御方。この荒々しい岸辺で、他の人よりは長く生き抜けるかもしれません。 天寿を全うとはいかないでしょうが。