The Grimoire Archive
グリモア トラッカー 書物

影の価値

ヨルの方がジャレンより早かったわけではない。そもそもジャレンは外さなかった。ヨルの方がジャレンより上だっただけだ。ヨルは「違っていた」。奴を燃やすには炎が必要だが、才能に満ちていると言えど、ジャレンは相応の炎を持ち合わせていなかった。我々全員もだ。俺が最初に身に付けたというわけでもない。自分の中の憤怒に火をつけキャノンを通して放つということを学んだ。硬く熱い惑星でそれを学ぶのは決して簡単なことではなかった。オシリスが追放される前。ギャップの前だ。俺の巡礼の旅は長く、痛みを伴う、憎しみに駆り立てられたものだった。だが、そこに意味があるのだ。腕が良いだけでは足りない。自信も武器にはなり得ない。闇の恐怖を前にしては意味をなさない。ヨルはそれを知っていた。奴はそれに賭けたんだ。 だからジャレンと対峙した時、ヨルは先に撃たせたんだ。だが、ジャレンの銃弾では足りなかった。そしてヨルがやり返すと、奴の病がジャレンの光を飲み込み、俺は再び1人になった。深い悲しみと怒りを再び背負わされたんだ。ヨルは俺を挑発するためにジャレンの所有物を渡してきた。そして俺は挑発に乗った。俺の手の中に戻ってきたその銃は、今まで愛した者たちの敵討ちの道へと俺を誘うきっかけとなった。全ては自己中心的な行いだった。 だが、あの高い崖の上でとうとうヨルと対峙した時、既に心の準備はできていた。それは奴も同じだった。最後の教訓、最後の贈り物を相手に捧げるための準備。真の運命へと突き進める一押し。 怪物どもで溢れた世界を少しでも良くできるよう、俺が英雄の仲間入りを果たせる最後の一押し。仲間と出会うまで、信頼できる者と出会うまで、きっと1人で歩むことになる孤独な道。 これまで恐れていたあるものに、価値を見出すようになるまで… そう、「影」だ。 ——S